高齢化社会を迎えた日本では、介護難民と呼ばれる高齢者が増えている。介護難民とは、65歳以上で介護が必要な要介護者に認定されているが、家庭でも介護を受けることができず、施設にも入居できない高齢者のことをいう。このような高齢者が2025年には全国で45万人を超えると予想(日本創成会議)されており、今後日本が避けては通れない課題になっているのだ。
介護難民が増える理由として、高齢者の増加と出生率の減少、介護職員の不足などがある。特に人材不足は、約6割の事業所が介護職員が足りないとアンケートに答えており、今後さらに増加する高齢者人口のことを考えると、早急な対策が必要だ。また、介護労働安定センターが行った調査では、73.1%の事業所が採用が困難であると回答している。介護職は資格や経験がなくても比較的就職しやすい職場と言われているが、離職した人の回答で最も多かったものに賃金の安さが挙げられているのだ。
介護職は高齢者を支えるやりがいのある職種である。ただ、人を相手にする仕事なのでちょっとしたコミュニケーションの行き違いから怒らせてしまったりすると、自分は介護職が向いていないかもしれないなど自信を無くすことも少なくないのだ。また、介護職員も労働を対価に賃金をもらっているので、給与が低いと生計を立てられない。人材不足を改善するには、介護職員が安定した生活ができるように給与の確保をすることが最優先で、国民一人一人が真剣に考えなければならない問題だ。